「Old Movieが現代を斬る」 ⑤/ タクシードライバー
2023.04.22

ベツィの件、大統領候補パランタインの件、そして幼き売春孃 アイリスとの出会いなど様々なものが積み重なり、沸点に達したトラビスの強固な意志は毎日のように厳しいトレーニングを自らに課します。そして銃の売人と会い、銃を手に入れます。
そして鏡の前で自らの世界に入り込み、銃の撃ち方の訓練を行います。
「You talkin to me」、「I’m stand here you make move」などと一人で会話し、自ら作りあげた仮想の相手を撃っていきます。

仮想の相手にトラビスは「来るのをみてたんだ馬鹿野郎」、「もう死んだぞ」などと引導を渡します。「あらゆる悪徳と不正に立ち向かう男がいる。俺の事だ」と自らの自己確立を宣言します。
★【このシーンは正に映画史に残る名演技です。これ以上の完成度の演技は私は見た事がないです】。
そんな日々の中でもそしてアイリスの事はずっと気になっていたようで。タクシードライバー故に地理に詳しく、観察眼に優れたトラビスはスポーツ(アイリスをトラビスのタクシーから無理矢理連れさった男)を見つけ出し。客としてアイリスとの接触を企てます。
売春宿でトラビスはアイリスと2人きりになります。気持ちがいっぱいいっぱいのトラビスは先日に(アイリスが偶然、トラビスのタクシーに乗り込んで助けを求めた件)について話を切り出します。
ですがアイリスはケロッとしており「あんた○○分なんて直ぐ経つよ」と告げます。トラビスは怯まず「君はスポーツに不当に支配されている」、「こんな事をせずちゃんと学校に行くべきだ」などと強くアイリスに伝えます。
アイリスはトラビスの余りの真剣さに少し(少女の面影)を見せ、「私、あなたの親切は分かってる」と答えます。反面、トラビスのタクシーに乗り込んだ件については「ラリっただけ。よく覚えてない」と話します。流石にトラビスも「そうか」といった感じで受け止めたよう。二人は軽く挨拶をして分かれます。そして本日の代金を払います。
(このお札は意味あり気でトラビスの精神性を表すものとなっている)。
以後もトラビスはタクシーを走らせ、トレーニングに励み、たまにポルノを観るという生活を送っていきます。時に苦悩を見せながらも、そこにはもう「根無し草」の雰囲気はありません。