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「Old Movieが現代を斬る 」⑥ /タクシードライバー

2023.04.27

 トラビスとアイリスの交流は続きます。休日に食事をする約束をした二人は小さなお店で会います。トラビスは(心の中の大事な部分)の象徴でもあるかのような、アイリスには優しく接するのではありますが。話がアイリスを売春孃として雇っているスポーツに及ぶとトラビスは何やら口調が険しくなり。

 「あんな悪党を初めて見た」、「あんな奴は地球の汚物だ」などとアイリスに持論を語ります。余りの正義感に少女であるアイリスも苦笑し出してトラビスに「ズレてるのは私なの?あなたなの?」と問いかけます。トラビスも少し表情を緩めて「ああ、オレは麻薬捜査官なんだ」などと答えます。この映画の唯一とも言える微笑ましいシーンではないでしょうか。

 トラビスはこの後もトレーニングに励み、ついにその日を迎えます。
 
 

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 ある日、突然にトラビスはモヒカンに頭を刈り上げてパランタインの演説開場に姿を見せます。何も語りませんが、表情は今までと違う印象を受けます。彼は彼独自の持論や正義感の終着地としてパランタイン議員への凶行を企てたのです。しかし、

(映画は以後は怒涛のクライマックスに続いていきます。焦点はトラビスの溢れ出す怒りが何処に向けられるかだと思います。多くの物事に沸点というものがあると私は考えますが。トラビスの『狂気』は煮えたぎっていました。クライマックスについては私は多くを語りません)。

 それにしても、安倍元総理を銃撃した山上容疑者は自作の銃を作るため部屋を借り、火薬を乾燥させ。奈良の山中で試し撃ちをして。統一教会の拠点の襲撃を企てるが失敗して。当日の犯行に及んだようだ。犯行現場の映像を見る限り、山上容疑者はまずは水平に銃を発砲してから2発目を安倍総理に向けて発射した。表情、所作を見る限りは恐ろしく冷静で計算され尽くした犯行に見える。

 トラビスと同じ『狂気』を山上容疑者に見た。多くの方々があの映像を見て「タクシードライバー」を連想したのではないでしょうか。私もその一人です。
 

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