「Old Movieが現代を斬る」 ⑧/ 羊達の沈黙
2023.04.30
●羊達の沈黙
1991年(米) 監督 ジョナサン デミ 主演 ジョディ フォスター 出演 アンソニー ホプキンス、スコット グレンなど。
●ストーリー
全米各地で若い女性を狙った連続殺害死体遺棄事件が起きていた。被害者の遺体は川に遺棄され皮を剥がれていた。その猟奇性から事件の容疑者は「バッファロービル」と呼ばれていた。
FBIの訓練生であったクラリスは毎日の厳しい訓練に汗を流していた。明るい表情も見せてくれていたが。その内面の葛藤を表すかのようなオープニング曲が流れる。
クラリスの上司でありFBI主任捜査官のクロフォード(スコット グレン)はバッファロービルを追うヒントを得るため精神科医でありながら囚人として収監されていたハンニバル博士(アンソニー ホプキンス)に会うようクラリスに指示を行った。
クラリスは毅然としていたが、卑猥な言動も浴びせられて。抱えている辛さも描かれる。何度もハンニバル博士と会い、精神的な負荷をかけられながらも、クロフォードと共に「バッファロービル」を追っていく。
(被害者の遺体には蛾のサナギが埋め込まれていた)
ハンニバル博士と会う中でクラリスは堪らえきれず。自身のトラウマを話す(多くは語りません)。ただ事件を追っているだけでなく。「その人間の根幹」が浮き彫りになっていく。
苦悩の中においても明晰な頭脳と行動力で事件の核心に狭っていくクラリス。時を同じくして上司のクロフォードも容疑者を追い詰めるが…。
ジョナサン デミ監督の演出が光る。
●作品として
1991年のアカデミー賞 作品賞を含む主要部門を独占した。ジョディ フォスターは主演女優賞を獲得した。映画にCGが導入される前夜の頃の作品でやはり観ると「映画の本質」のようなものを感じられる。
色々な見方がある作品だと思います。猟奇殺人犯を追うサスペンスとしてもこの上ない秀作ですし。
上司のクロフォードもハンニバル博士もクラリスをある意味「愛していたんだな」と思います。クラリスが「少女の面影を残す女性」からいわゆる「大人の女性」になる成長物語とも観られます。
スマホを見る時間が増えても「人間の本質」は変わりません。これも今観るべき映画だと思い、ご紹介致しました。